
結婚式やお通夜、お葬式といった冠婚葬祭で着用される「フォーマルスーツ(礼服)」。
店頭でお客様をご案内していると、以下のようなお声をよく耳にします。
- 「あまり着る機会がないから、安いフォーマルスーツでいい」
- 「仕事用のブラックスーツ(黒無地のスーツ)を持っているから買わない」
- 「そもそもフォーマル専用のスーツは必要ない」
しかし、アパレル業界で15年以上、数千人のお客様のスタイリングを担当してきた現役販売員として、はっきりとお伝えします。
大人の身だしなみとして、フォーマルスーツは必ず1着持っておくべきです。
本記事では、プロの視点から「フォーマルスーツを買うべき理由」と「長く使える賢い買い方」、そして「なぜビジネス用の黒スーツではいけないのか」について徹底的に解説します。
フォーマルスーツとは?どんなスーツ?
フォーマルスーツとは「礼服」の種類の1つです。
礼服とは、結婚式やお通夜、お葬式といった冠婚葬祭に着て行くスーツのことを指します。
「フォーマル」には「公式」などの意味があり、公式的・儀礼的な行事に適した格式高い服装です。
フォーマルスーツは必要不可欠。買うべき理由
昨今の結婚式では、フォーマルではなくビジネススーツやオシャレなスーツで参加される方もいらっしゃいます。
しかし、お葬式では控えめな服装を心がけることが最低限のマナーです。お葬式でフォーマルスーツでない方やビジネススーツの方は稀ですが、いらっしゃるのは事実です。
冠婚葬祭の場において、主役は自分ではありません。
結婚式であれば新郎新婦。お葬式は故人であり、ご冥福を祈る場です。
場にそぐわないビジネススーツやオシャレなスーツを着て参加して満足するのは、着て行った本人だけです。
そのような格好で行って恥をかくのは、結婚式であれば呼んでいただいた上司、先輩、後輩、友人の主賓の方々です。仕事や取引先関係の冠婚葬祭であれば、恥をかくのはご自分が勤めている「会社」になります。
ご自身の印象も大事ですが、冠婚葬祭の公式的な場には、相手の印象や周囲、マナーのことを考えてフォーマルスーツを着て行くべきです。冠婚葬祭のシーンでフォーマルスーツを着ていけば、マナー違反になることはありませんので安心です。
そのため、フォーマルスーツは必ず一着は持っておきたいアイテムです。
(※結婚式などはゲストや会場によって、ブラックスーツでも良い場合があるので、事前に確認されることをおすすめします。)
【礼服と喪服は違うのか?】同じブラックスーツだけど違いはあるのか?
フォーマルスーツの賢い買い方とは?
フォーマルスーツには「秋冬用」「夏用」「オールシーズン用」と種類があります。
■ 秋冬用フォーマルスーツ
・生地:秋冬用
・ジャケットの裏:総裏(そううら)
■ 夏用フォーマルスーツ
・生地:夏用
・ジャケットの裏:背抜き、あるいは単衣仕立て
■ オールシーズン用フォーマルスーツ
・生地:秋冬用 + ジャケットの裏:背抜き
(もしくは)
・生地:春夏用 + ジャケットの裏:総裏
フォーマルスーツを賢く買うなら「オールシーズン用」をおすすめします。
フォーマルは着る機会が少なく、結婚式はまだしもお通夜、お葬式はいつ起きるかわかりません。
「オールシーズン用だと夏は暑く、冬は寒いのでは?」と思われるかもしれません。しかし、夏場の室内は冷房が効いており、冬場では暖房があり、外ではコートを羽織ります。そのため、オールシーズン用を一着持っておくのが最も賢い選択です。
なかでも、フォーマルスーツはオールシーズン用で「仕立ての良いスーツ」を買うことを推奨します。
先程もご紹介したように、フォーマルスーツは着用頻度が少ないため、頻繁に買い換えるものではありません。体型が大きく変わらなければ、目安として5年〜10年使う人が多いです。
そのため、型崩れしにくい良いスーツを選ぶことが賢明です。
【ブラックスーツ・フォーマルスーツに付くうっとうしいホコリ】ホコリの原因・取り方・防止策を徹底解明。
冠婚葬祭に使えるコートは?
冠婚葬祭に使えて、フォーマルスーツに合うコートは「黒のコート」です。
ウールやカシミヤ素材の黒のコートを持っていれば、ビジネスと冠婚葬祭の両方のシーンで兼用して使うことができます。ビジネス用・冠婚葬祭の兼用として、黒のコートを1着持っておくことをおすすめします。
スーツに着る人気コートは定番のチェスターコート。売れている理由とは?
ブラックスーツ(黒無地のスーツ)は冠婚葬祭では使えない?
近年、ビジネスシーンでブラックスーツ(黒無地のスーツ)を着る人が増えています。
ブラックスーツや黒無地のスーツは結婚式で使う人もいらっしゃいますが、基本的にお葬式では使えません。反対に、フォーマルのスーツをビジネスで使うこともできません。
フォーマルスーツとビジネススーツの最大の違いは「黒の濃さ」です。
フォーマルのスーツの方が黒色が深く濃く、ビジネス用の黒色の方が薄いです。そのため、葬儀の出棺の際など、屋外でフォーマルスーツとブラックスーツの人が並ぶと、色の違いが一目でわかってしまいます。
冠婚葬祭では、ビジネス用のブラックスーツは人によっては失礼にあたることもあるため、専用のフォーマルスーツを着ることを強くおすすめします。
特に30代後半の方や40代以降の方は、ブラックスーツよりもフォーマルスーツを着ている方が威厳があり、上品で落ち着いた印象になるためおすすめです。
フォーマルスーツとビジネススーツの「形」の違いとは?
フォーマルスーツとビジネススーツは「黒の濃さ」が違うとご紹介しましたが、それ以外にもスーツの「形(ディテール)」に明確な違いがあります。
フォーマルとビジネスの違い(ジャケット・上着)
フォーマルスーツの形には、シングルとダブルがあります。
現在はビジネススーツと同じ形のシングルスーツが人気であり、ダブルスーツはご年配の方が選ぶ傾向にあります。新しくフォーマルスーツを買われる方には、シングルスーツの形をおすすめします。
ビジネススーツの上着には、背中の裾部分に「センターベント」や「サイドベンツ」といった切り込み(スリット)が入っています。
■ サイドベンツ
■ センターベント
これに対し、フォーマルスーツの上着は、切り込みがない「ノーベント」が一般的(正式なマナー)です。
フォーマルとビジネスの違い(スラックス・パンツ)
フォーマルスーツのスラックス(パンツ)には、ウエストの大きさを調整できる「アジャスター」が付きます。
アジャスターが付いていると、太っても痩せてもウエストを前後で4cm〜6cmほど調整することができます。そのため、多少の体型変化があっても長く対応することができます。
また、ビジネススーツではスラックスの股下の出来上がりを「シングル仕上げ」「ダブル仕上げ」から選べますが、フォーマルスーツの場合は「シングル仕上げ」がマナーとなりますので注意が必要です。
高いスーツを買う意味ってあるの?高いスーツを着る7つのメリット。
フォーマルスーツを買うならどこがいい?値段はいくらがいい?
フォーマルスーツは、百貨店、専門店、洋服の青山やAOKI、はるやまなどの量販店で取り扱っています。
お店はどこが良いということはありませんが、価格の安さだけで選ばず、「良い仕立ての深い黒のフォーマル」を選ぶのが正解です。
フォーマルスーツの値段は、手頃な価格の2万円から、数十万する高いものまで幅広くあります。
数十万のフォーマルは必要ないと思いますが、長く使うものなので、値段が安すぎるものもおすすめしません。
年齢を重ねた大人の男性が安いフォーマルを着ていると、威厳がなくみっともない印象になってしまいます。
そのため、30代後半からは仕立ての良いフォーマルをおすすめします。仕立てが良いフォーマルは、量販店などでも8万から10万前後するものが中心になります。予算的に難しい方は、セールや売り出しの時期を狙って購入するのも一つの手です。
しかし、「8万円〜10万円の予算を出すのであれば、既製品を買うよりも『オーダースーツ』で作った方が良い」というのが、プロとしての見解です。
長年着るフォーマルスーツにおいて、肩幅や着丈がご自身の体型に「ジャストフィット」しているかどうかが、品格を決定づけます。現在は、適正価格で高品質なフォーマル用のオーダースーツが作れる時代です。
プロ推奨!フォーマルを適正価格で作れるオーダースーツ2選
「オーダーメイドは良さそうだけど、自分でサイズを測って失敗するのが怖い」と感じる方も多いと思います。
しかし、現在の優良なオーダースーツブランドでは、サイズに関する不安を解消する仕組みが整っています。ご自身の状況に合わせて、最適なブランドを選んでみてください。
① 自宅で完結。「お気に入りスーツを送るだけ」のSuit Ya
自社工場からの直販により、高級生地のオーダースーツを量販店以下の適正価格で仕立てることができます。
最大の魅力は、「今持っている一番サイズの合うスーツを箱に入れて送るだけ(採寸代行)」というシステムです。自分でメジャーを使って測る必要がないため、サイズ選びで失敗するリスクがありません。店舗に行く時間がない方に最適です。
② 実店舗の安心感。全国のプロに直接測ってもらえるSADA
「初めてのオーダーだから、最初はプロの販売員に直接測ってもらい相談したい」という方に最適なのがSADAです。
圧倒的なコストパフォーマンスを誇り、初心者でも挑戦しやすい価格設定が魅力です。来店予約をしてお店に行けば、プロのテーラーが正確に採寸を行ってくれます。一度サイズを登録すれば、2回目以降はスマホから簡単に注文できる利便性も備えています。
【Q&A】プロが答える!フォーマルスーツのよくある質問
最後に、店頭でお客様からよくご質問いただく「フォーマルスーツの小物合わせやマナー」についてお答えします。
Q. 合わせるネクタイの色は何色ですか?
A. 結婚式などの慶事は「白」または「シルバーグレー」、お葬式などの弔事は「黒無地」が基本です。
最近の結婚式ではパステルカラー(淡いピンクや水色)のネクタイを合わせるのも一般的ですが、親族としての参列や、スピーチを頼まれているなど格式高い立場の場合は、シルバーグレーが無難です。
Q. 靴やベルトのルールはありますか?
A. 弔事(お葬式)の場合は、金具の装飾がない「黒の紐靴(内羽根式のストレートチップ)」と「シンプルな黒ベルト」が鉄則です。
ローファーなどのスリッポンタイプや、クロコダイル柄など殺生を連想させるレザー小物はマナー違反となります。結婚式の場合は、黒の他に焦げ茶色の革靴なども許容されます。
Q. ワイシャツはビジネス用と同じでいいですか?
A. 無地の「白シャツ」であれば問題ありません。
ただし、襟先をボタンで留める「ボタンダウンシャツ」はカジュアルな由来を持つため、冠婚葬祭ではマナー違反となります。「レギュラーカラー」や「ワイドカラー」の白シャツを選んでください。
スーツはいつどこで買うべき?安くなる時期、種類が豊富な時期、おすすめのお店をご紹介。
まとめ:いざという時のために、信頼できる1着を
いかがでしたでしょうか?
フォーマルスーツを買うべき理由と賢い買い方、フォーマルスーツとビジネススーツの違いをご紹介しました。
フォーマルスーツは何かあった時のため、周囲の人や自分のために1着は持っておくべきスーツです。
着る頻度は少ないですが、長く使うものなので、仕立てが良くご自身の体型に合ったスーツを選ぶことをおすすめします。
今回ご紹介した内容が、皆様の参考になれば幸いです。
百貨店に多いスーツブランド10ブランドまとめ(五大陸、ダーバン、ブルックス、マッキントッシュ、リング、ティモシー 、リチャードジェームス etc)










